「魔法の四角形」
西ドイツには「魔法の四角形」という理念があります。
物価の安定を前提としながら、適度な成長、高い雇用率、そしてバランスある経常収支・・・
これら一見矛盾する4つの要素を均衡させていくことが西ドイツ経済の安定につながるという考え方です。
むろん、これら4つの要素が同時に達成されたことは1度もないのですが、政府や連邦銀行当局者たちは「魔法の四角形」を理念として掲げ、その実現を目ざすという姿勢を変えません。
自国通貨を切り上げることは、黒字を減らし貿易相手国との摩擦を回避し、同時に安い外国製品を国内にもたらし物価を抑え経済に安定をもたらします。
1961年のマルク切り上げは適度な成長を保ちつつ、物価安定をもたらす効果を発揮しました。
この時期、西ドイツにおいては「成熟」につきもののインフレは起こらず、物価の安定が維持され、「魔法の四角形」に一歩近づくことができたのです。
こうした「成長」から「成熟」への過程で西ドイツ経済が身につけた原則は、通貨の切り上げが対外関係を改善。
同時に、輸入増のメリットが物価面に波及し、国民の実質的な所得拡大につながる、という確信でした。
自由競争と物価安定を柱とする西ドイツ政府の基本政策がここでも確認されました。